マツダスタジアムを初めて見た話
マツダスタジアムの開業は2009年である。
2006年の秋、高校2年生の私は修学旅行で広島を訪れた。初めての広島で、カープの本拠地である広島市民球場を見たかった。ただ、修学旅行はビッチリと日程が決まっており、また自由行動もなく、あまり期待せずにいた。
当時はガラケーで今のようにGPSで自分の位置を正確に測ることができなかったので、広島でのバス移動はどの辺りを走っているのか全く分からなかった。が、アタリのバスガイドさんとも言うべきか、「あの右手に見える建物が広島市民球場でーす。」とあっさりではあるが紹介があった。
ほんの一瞬しか見えず、クラス殆どが話を聞いていなかったと思うが、私はその瞬間を覚えている。あれが最初で最後の広島市民球場であった。
次に広島を訪れたのは2016年になるのだが、マツダスタジアムを初めて見たのは2011年の秋である。
2011年、大学4年生の私は単位があまり取れず、卒業が危ぶまれる中、福岡へ出かけた。中日対ソフトバンクの日本シリーズ第2戦のチケットが取れたためである。
試合の数日後には絶対に落とせないテストがあったが、応援しているチームの日本シリーズを逃してしまうことも人生の中で絶対後悔すると思い、思い切って行った気がする。
新大阪〜博多間には当然広島駅がある。そして新幹線からはマツダスタジアムがよく見えるのである。ぼーっと窓を眺めていると急に真新しいスタジアムの全貌がはっきり見えてきて、”は?これマツダスタジアムじゃん”と驚きと喜びが湧き上がってきた。カメラを準備する間もなく通り過ぎてしまったが、思いがけない初体験に日本シリーズ観戦へのモチベーションも、より一層高まった。
福岡での過ごし方、日本シリーズの話はまた書きたいことの一つである。
帰りの新幹線は始発で帰ったこともあってカメラを用意する気力が沸かなかった。それでも当時使用していたソニーのガラケーで適当にマツダスタジアムを取った。今は起動しなくなりその写真は見られないが、なんとなく斜めで、だけどシャープな輪郭のマツダスタジアムを思い返すことができる。
いつかマツダスタジアムで野球観戦したいものだ。