2000本安打を見損ねた話2/2

2017年6月3日、清原のあの試合からちょうど13年後、中日の荒木選手が2000本安打を達成した。黄金期の中日を支えたベテランの偉業だ。

その前日、私はナゴヤドームで、惜しくも1999本目のヒットを見た。

 

6月2日は平日で、私もサラリーマンの端くれとして働いていた。間もなく繁忙を迎えようとしている中、先輩が、「ナゴヤドーム行かない?」と声をかけてくれた。

その先輩は野球好きで、中日ファンではなかったが、「2000本安打なんてめったに無いし、見られるかも、見たい」とのことであった。

ともに車通勤だったため矢田駅の改札で待ち合わせることにした。当日券を買い、入場すると試合はすでに始まっていた。平日にしては混んでいたように思う。席は一塁側の内野で、B席だったか。サラリーマンよりは大学生といった、若者が多かった。荒木選手のユニフォームを着ている人も多く、2000本安打達成への期待が見て取れた。

 

1999本目のヒットが出た。”マジで見られるかも”と思ったとき、「僕、清原の1999本も見たんですよね」と前述のことを話した。途端、荒木選手はベンチに下がってしまった。なんとも残念だった。

 

その試合は楽天戦で、試合は6−3で中日が勝った。中日ファンの私はとても楽しめた試合だったが、先輩はどうだったであろうか。

 

私は野球観戦に出かける際、会場時間に合わせて入りたい。相手チームの練習やスターティングラインナップの発表など、見られるものは全てみたい。せっかくチケットを買ったのだから、と貧乏性な考えと合わせて、その瞬間のチームの状況や雰囲気を味わった上で試合を見たい。

ただ、今回は、私にしては珍しく、致し方なく、途中からの観戦となった。が、楽しかった。平日の仕事という現実から、急に楽しみの世界に出かけた感じがした。この試合は、野球観戦の大人としての楽しみ方を教えてもらったような、そんな一戦だった。