今週のお題「読書の秋」から、いつか読みたい「暗夜行路」の話

今週のお題「読書の秋」

私は、志賀直哉/著 「暗夜行路」の文庫本を持っている。

 

持っている。読んではいないのだ。

これは社会人になりたての頃、大学時代の友人と奈良県にある志賀直哉旧邸を訪れた後に買ったものだ。

私は学力こそないが、高校〜大学にかけて、水を浴びるように本を読んだ。電車での通学時間はもちろん、各休み時間、ついて行けなくなった授業など、常に本を持ち、空想の世界にいた。

友人はそんな私の姿を見ていたこともあり、気軽に、「志賀直哉、なにか読んだことある?」と話しかけてきた。私は「ないな…というか暗夜行路しか知らない、何も持ってない…」「次会うまでに暗夜行路読んでおくわ!」

 

それから約10年、一文字も読んでいないあの本が本棚のどこにあるのかすら分からない。

 

暗夜行路と同じく一文字も読んでいない本は、私の本棚には多々ある。

ただ、買った経緯や上記のような思い返しが浮かぶ本は多くない。友人との酒の肴になりうるこの暗夜行路は、やはり”いつか”読んでみたい。

 

少し戻って志賀直哉旧邸について、これはいいものであった。入り口は落ち着いた日本家屋、本当に誰か住んでいてもおかしくない佇まいだった。室内はダイニングであるのか、広いフローリングに大きなテーブルが構えられ、会議でも開ける様子だった。

訪れた日は確か夏前の晴れた日で、庭の緑がそのダイニングからとてもきれいに見えた。頭にあった暗夜行路という名前とは反対の明るいイメージがそこにはあった。

 

現在1歳の娘の育児の最中、紙の本を開いて、落ち着いて読書をすることが難しい。電子版でも購入して読みたい。

いつか読みたい本があるというのは、いい。ドラマを楽しみにしているように、人生の節々を彩ってくれる予感がある。”いつか”であっても読むと、友人に誓っておこう。